ライターになりたい。

サブカルチャーと真面目な話。

夏を感じる瞬間

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お昼過ぎ、コンビニでお昼ご飯を買おうと思い、お気に入りのギョサンをつっかけて歩いているとトマトがマンションの植木にいた。おそらくマンションの管理会社が育てているものだろう、最近トマトあんまり食べてないな、なんて思考を巡らせて歩いていた。

夏野菜と言えば真赤なトマトかずんぐりなナスを想像するのだけれど、夏野菜は最高だ。美味しくない野菜はないし、体温を下げてくれる。一年中いろいろな野菜が手にい入るようにはなったけれど、くるりみたいに季節には敏感でいたいな。

私はコンビニに着くと買いもしないアイスケースの前まで行き、さも真剣に吟味しているかのように涼んだ。アイスコーナーを眺めた後に、冷凍食品コーナーを見るのが私のルーティーンだ。今まであまり気が付かなかったが、アイスの品揃えがあまり変わらないのに対して、冷凍食品は冬場と全く異なる種類が並んでいた。関心と驚きを抱えたままお弁当を物色する。ピークすぎということもあってあまり品揃えは良くなかったが、50円引きにつられて人気のなさそうにずらっと並べられていた冷やし担々麺を手に取った。飲み物はいつものコーヒー、思ったが夏らしい爽やかなパッケージにつられてカルピスを手に取る。レジに並ぶと新人らしい女の子が、ベテラン主婦風の女性に教えを乞いながら慣れない手つきで操作していた。夏から新しいバイトを始めて、夏休みのための資金を蓄えるのだろう。私もそろそろやりたいことのために貯金をしなければならないな、と思いつつ商品を受け取る。

帰る前に足を喫煙所に向ける。そこは日陰などはみじんもなく、カンカン照りのアスファルト上に円筒灰皿が2本。自分があそこに一日中立っていろと言われたら死んでしまうな、と思いつつたばこに火をつける。自分の吐いたが顔にまとわりつき、その鬱陶しさが夏の到来を感じさせる。夏は煙が鬱陶しい、たばこも花火も、華麗さや儚さなどに関係なく。

火を消し岐路に向かう途中、再びトマトと対面する。最初見た時よりもしおれているように見えて、トマトも夏バテをするものなんだと知った。こんなに暑くて人間がへたっているのに、植物だけだ元気に背伸びをしているのも皮肉じみて良いものだが、同じようにへたっている姿も情緒があって良い。そんな夏を感じる瞬間だった。